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現在価値という考え方:借り換えの手数料や繰上げ返済を「今のお金」で比べる

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動画で見る:現在価値という考え方|住宅ローンの借り換え手数料や繰上げ返済を「今のお金」で比べる(YouTube で開く)

借り換えや繰上げ返済の損得は、ふつう「払う総額がいくら減るか」で比べます。でも、30年かけて少しずつ戻ってくる100万円と、今すぐ払う100万円は、本当に同じ重さでしょうか。この記事では、「現在価値」という考え方を使って、借り換えの手数料や繰上げ返済を「今のお金」に直して比べてみます。

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現在価値とは

将来受け取るお金を、今の価値に直したものが現在価値です。

今の100万円は、預けたり使ったりできるので、1年後の100万円より価値があります。たとえば年2%で増やせるなら、1年後の102万円と今の100万円は同じ価値です。逆に言えば、1年後の100万円の今の価値は、約98万円です。

このとき使う「年2%」のような利率を割引率と呼びます。割引率が高いほど、遠い将来のお金は今の価値で小さくなります。

住宅ローンの借り換えや繰上げ返済は、今お金を払って、将来の返済を減らす取引です。将来の削減分は数十年にわたって少しずつ戻ってくるので、単純に合計するより、現在価値で見たほうが実態に近くなります。

借り換え:単純な合計では得でも、現在価値では損になることがある

金利1.5%で借りて5年後に、金利が低いローンへ借り換える場合です。諸費用は借り換えの日に払い、毎月の返済の削減は残りの30年にわたって続きます。

金利差割引率 0.0%(単純な合計)割引率 1.0%割引率 2.0%割引率 3.0%
−0.2%+24.4万円+3.6万円−13.4万円−27.5万円
−0.3%+99.4万円+68.4万円+43万円+21.9万円
−0.5%+247.4万円+196.2万円+154.2万円+119.5万円

借入額5,000万円・35年・元利均等返済、金利1.5%で2026年4月に借入れ、5年後に同じ残りの期間で借り換えた場合の、諸費用(例として残高の2.2%と30万円)を差し引いた損得の現在価値。プラスなら得、マイナスなら損。

金利差0.2%の場合、単純な合計では +24.4万円 の得ですが、割引率2%の現在価値では −13.4万円 と損になります。諸費用は今すぐ全額払うのに、削減分は30年かけて少しずつしか戻ってこないためです。

金利差が0.3%以上あれば、割引率3%で見ても得のままです。借り換えの差が小さいときほど、現在価値で確かめる意味があります。

繰上げ返済:借入金利と同じ利回りで確実に運用するのと同じ

金利1.2%のローンで、借入れから1年後に500万円を繰上げ返済する場合です。

割引率 0.0%(単純な合計)割引率 1.0%割引率 1.2%割引率 2.0%割引率 3.0%
期間短縮型+232.2万円+32.8万円±0−112.1万円−217.4万円
返済額軽減型+108.9万円+16.2万円±0−58.2万円−118.2万円

借入額5,000万円・35年・元利均等返済、金利1.2%のまま、2026年4月借入れ。借入れから1年後に500万円を繰上げ返済した場合の、減る返済の現在価値から500万円を差し引いたもの。

単純な合計では、期間短縮型で +232.2万円 の得です。ところが、割引率を借入金利と同じ1.2%にすると、損得はちょうど ±0 になります。

これは偶然ではありません。繰上げ返済で減らした元金には、その後ずっと借入金利の分の利息がかからなくなります。つまり繰上げ返済は、手元のお金を借入金利と同じ利回りで、確実に運用するのと同じです。

  • 手元のお金を、借入金利より高い利回りで確実に増やせるあてがあるなら、繰上げ返済は急がなくてよい
  • そうでないなら、繰上げ返済は借入金利の分だけ確実に得をする

という判断の目安になります。

金利が上がっていく場合

変動金利が上がっていくと、繰上げ返済で減らした元金にかかるはずだった利息も増えるので、繰上げ返済の価値は上がります。金利が毎年0.25%ずつ3回上がって1.95%になる場合です。

割引率 0.0%(単純な合計)割引率 1.2%割引率 1.5%割引率 2.0%割引率 3.0%
期間短縮型+337.4万円+104.8万円+58.5万円−9.9万円−120.1万円

借入額5,000万円・35年・元利均等返済、2026年4月借入れ。金利が1.2%から毎年0.25%ずつ3回上がって1.95%になる場合に、借入れから1年後に500万円を期間短縮型で繰上げ返済したとき。

割引率1.5%でも +58.5万円 の得になり、損得が並ぶのは、金利が落ち着く1.95%前後です。金利が上がる見込みが強いほど、繰上げ返済は有利になります。

現在価値で考えるときの注意

  • 手元資金の安心は数字に出ない:繰上げ返済したお金は戻ってきません。病気や失業に備える手元資金は、現在価値とは別に確保しておく必要があります。
  • 将来の金利は分からない:変動金利の場合、繰上げ返済や借り換えの価値は、これから金利がどう動くかで変わります。いくつかの金利シナリオで試してみることが大切です。

自分の条件で確かめるには

シミュレーターでは、繰上げ返済の時期・金額・種類を入れると、利息がいくら減るかを確かめられます。借り換えは、金利シナリオで借り換え後の金利を描くと、毎月の返済と総返済額の変化を見られます(諸費用は含まないので、見積もりから差し引いて考えてください)。

記事の数字は一例です。ご自身の借入額・期間・金利の推移で試算してみてください。

試算結果は入力した条件にもとづく目安です。実際の返済額は、借入先の契約内容や端数処理などによって異なる場合があります。詳しくは免責事項をご覧ください。